シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―
 作業が終わった頃には。

 外はすっかり夕方になっていた。

「疲れたー」

「言った時間、完全に超えてますけど」

「悪かったって」

「二時間どころじゃないですよね」

「飯奢る」

「それならいいです」

「切り替え早っ」

 二人で旧棟を出る。

 直充の鞄には。

 あの木箱が入っていた。

 本当は。

 そのまま事務室へ持っていくつもりだった。

 けれど。

「……閉まってるな」

 事務室前。

 照明は消えている。

「明日でいいだろ」

 先輩が言う。

「そうですね」

「飯行こうぜ」

「はい」

 歩き出しかけて。

 直充は一度だけ。

 鞄へ視線を落とした。

 明日。

 渡せばいい。

 それなのに。

 胸のどこかで。

 少しだけ。

 ほっとしていた。
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