シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―
夜。
自室。
直充は机に向かっていた。
明日の講義の準備を終える。
ノートを閉じる。
「…………」
机の端には。
木箱。
明日。
事務室へ持っていく。
それで終わる。
直充は立ち上がった。
寝ようとして。
止まる。
「…………」
振り返った。
木箱を見る。
数秒後。
直充はもう一度。
椅子へ座っていた。
蓋を開ける。
金色の懐中時計を取り出した。
耳へ近づける。
かち。
かち。
かち。
静かな部屋では。
昼間よりも。
音がはっきり聞こえた。
文字盤を見る。
やはり。
針は動いていない。
裏返す。
『未来を変えるのは過去』
「…………」
直充は。
その言葉をしばらく見つめた。
「どういう意味だよ」
小さく呟く。
もちろん。
答えはない。
直充は時計を木箱へ戻した。
蓋を閉じる。
今度こそ。
ベッドへ向かう。
電気を消す。
暗くなった部屋で。
目を閉じる。
けれど。
最後に頭に残ったのは。
明日の講義でも。
サークルのことでもなかった。
『未来を変えるのは過去』
あの。
妙な言葉だった。
机の上。
閉じられた木箱の中で。
かち。
かち。
かち。
小さな音だけが。
鳴り続けていた。
自室。
直充は机に向かっていた。
明日の講義の準備を終える。
ノートを閉じる。
「…………」
机の端には。
木箱。
明日。
事務室へ持っていく。
それで終わる。
直充は立ち上がった。
寝ようとして。
止まる。
「…………」
振り返った。
木箱を見る。
数秒後。
直充はもう一度。
椅子へ座っていた。
蓋を開ける。
金色の懐中時計を取り出した。
耳へ近づける。
かち。
かち。
かち。
静かな部屋では。
昼間よりも。
音がはっきり聞こえた。
文字盤を見る。
やはり。
針は動いていない。
裏返す。
『未来を変えるのは過去』
「…………」
直充は。
その言葉をしばらく見つめた。
「どういう意味だよ」
小さく呟く。
もちろん。
答えはない。
直充は時計を木箱へ戻した。
蓋を閉じる。
今度こそ。
ベッドへ向かう。
電気を消す。
暗くなった部屋で。
目を閉じる。
けれど。
最後に頭に残ったのは。
明日の講義でも。
サークルのことでもなかった。
『未来を変えるのは過去』
あの。
妙な言葉だった。
机の上。
閉じられた木箱の中で。
かち。
かち。
かち。
小さな音だけが。
鳴り続けていた。