シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―
「梨来さん」

「んー?」

 いつの間にか希美が隣にいた。

「大丈夫だったんですか?」

「うん。もう消えたよ」

「よかったぁ」

 希美がほっと息を吐く。

 それから、梨来の顔を覗き込んだ。

「……梨来さん?」

「ん?」

「なんか嬉しそう」

「え?」

「ちょっと笑ってますよ」

 梨来は自分の頬へ触れた。

 火が消えたから。

 直充が無事だったから。

 だから安心している。

 そう思ったのに。

 ふと浮かんだのは。

『分かってます』

 ほんの少しだけ笑った、直充の顔だった。

「…………」

「何かいいことありました?」

「あったのかなぁ」

 まだ。

 このときは。

 ほんの少し笑っただけの顔を、どうして何度も思い出してしまうのか。

 梨来には。

 分からなかった。
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