シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―
6.パイセン
翌日。
「パイセン!」
廊下を歩いていた直充は、聞き覚えのある大きな声に足を止めた。
「…………」
振り返ると、黒いキャップを被った男子学生がこちらへ走ってくる。
昨日の騒ぎのときに居合わせた、大我だった。
「パイセン!」
「その呼び方やめろ」
「じゃあ師匠!」
「もっとやめろ」
「え、なんでっすか!?」
「どっちも違う」
「じゃあ直充さん!」
「それでいい」
「普通!」
「名前だからな」
大我が笑いながら隣に並び、直充が再び歩き出すと当然のようについてくる。
「…………」
「…………」
十歩ほど進んだところで、直充が横を見る。
「何でついてくる」
「え?」
「どこ行くんだ」
「まだ決めてないっす!」
「じゃあ何でこっち来る」
「直充さんいたから!」
「…………」
迷いがない。
「昨日会ったばっかりだろ」
「でも名前知ってるじゃないっすか!」
「知ってるな」
「俺も直充さんの名前知ってます!」
「そうだな」
「ほら!」
「何が」
「もう他人じゃないっす!」
「…………」
直充は前を向いた。
「まあ、いいけど」
「いいんすか!?」
「駄目って言ってもついてくるだろ」
「はい!」
「即答するな」
大我が楽しそうに笑う。
「直充さん、次講義っすか?」
「ああ」
「俺、空きコマなんすよ」
「そうか」
「暇なんすよ」
「そうか」
「めっちゃ暇なんすよ」
「そうか」
「…………」
「何」
「なんか誘ってくれてもよくないっすか?」
「講義に?」
「それは行けない!」
「じゃあ無理だろ」
「そうだけど!」
大我の声が廊下に響く。
直充は小さく息を吐いた。
昨日から思っていたが、よく喋る。
「パイセン!」
廊下を歩いていた直充は、聞き覚えのある大きな声に足を止めた。
「…………」
振り返ると、黒いキャップを被った男子学生がこちらへ走ってくる。
昨日の騒ぎのときに居合わせた、大我だった。
「パイセン!」
「その呼び方やめろ」
「じゃあ師匠!」
「もっとやめろ」
「え、なんでっすか!?」
「どっちも違う」
「じゃあ直充さん!」
「それでいい」
「普通!」
「名前だからな」
大我が笑いながら隣に並び、直充が再び歩き出すと当然のようについてくる。
「…………」
「…………」
十歩ほど進んだところで、直充が横を見る。
「何でついてくる」
「え?」
「どこ行くんだ」
「まだ決めてないっす!」
「じゃあ何でこっち来る」
「直充さんいたから!」
「…………」
迷いがない。
「昨日会ったばっかりだろ」
「でも名前知ってるじゃないっすか!」
「知ってるな」
「俺も直充さんの名前知ってます!」
「そうだな」
「ほら!」
「何が」
「もう他人じゃないっす!」
「…………」
直充は前を向いた。
「まあ、いいけど」
「いいんすか!?」
「駄目って言ってもついてくるだろ」
「はい!」
「即答するな」
大我が楽しそうに笑う。
「直充さん、次講義っすか?」
「ああ」
「俺、空きコマなんすよ」
「そうか」
「暇なんすよ」
「そうか」
「めっちゃ暇なんすよ」
「そうか」
「…………」
「何」
「なんか誘ってくれてもよくないっすか?」
「講義に?」
「それは行けない!」
「じゃあ無理だろ」
「そうだけど!」
大我の声が廊下に響く。
直充は小さく息を吐いた。
昨日から思っていたが、よく喋る。