シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―
「パイセン!」

「やめろ」

「まだ言ってない!」

「言っただろ」

「最後まで言ってないっす!」

「パイセンって言っただろ」

「その先があったかもしれないじゃないっすか!」

「何」

「パイセン……」

「…………」

「…………」

「ないのか」

「今考えてます!」

「もういい」

「待って!」

 大我が慌てて追いかける。

 直充は講義で使ったノートを鞄へしまいながら、廊下を歩いていた。

「ていうか、どこ行くんすか?」

「事務室」

「何しに?」

「書類出す」

「俺も行きます!」

「何しに」

「ついてく!」

「目的を持て」

「直充さんについていく!」

「それは目的じゃない」

「俺にとっては立派な目的っす!」

「帰れ」

「冷たい!」

 そう言いながらも、大我は当然のように隣を歩いている。

「梨来さんと希美さん、いるっすかね」

「知らない」

「いたら声かけましょうよ!」

「何で」

「昨日一緒に猫探した仲じゃないっすか!」

「そうだな」

「…………」

 大我が直充を見る。

「反応うっす!」

「何て言えばいいんだ」

「もっとこう、嬉しそうに!」

「何で」

「仲良くなったじゃないっすか!」

「誰と」

「みんなと!」

「そうか」

「だから反応うっす!」

 直充は小さく息を吐いた。
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