シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―
「あ」

 事務室の近くまで来たところで、大我が声を上げる。

「希美さん!」

 壁際で梨来と話していた希美が振り返った。

「あ、大我くん」

「昨日ぶりっす!」

「昨日ぶり」

「チョコどうなりました?」

「ちゃんと家に帰ったって」

「マジっすか! よかった!」

「写真も見たよ」

 梨来が笑う。

「もうすっかりくつろいでたよ」

「俺には触らせてくれなかったのに!」

「声大きかったからじゃない?」

「希美さんまで!?」

「だって大きかったし」

「普通っすよ!」

「大きいよ」

「二対一!」

 大我が騒ぐ。

 その横で、梨来は直充を見た。

「直充くん」

「こんにちは」

「うん。こんにちは」

 会えた。

 そう思った瞬間、自然と頬が緩んだ。

「…………」

 昨日のことを思い出し、梨来は自分の口元へそっと手を当てる。

「何してるんですか」

「え?」

「口」

「あ……」

 見られていた。

「ちょっと笑ってたみたい」

「そうですか」

「うん」

 直充はそれ以上聞かなかった。

 梨来はそっと手を下ろす。

 笑っていたことを隠したみたいになってしまった。

 少しだけ、恥ずかしい。
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