シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―
「すごいねぇ」
「何がですか?」
「人」
「お昼はいつもこんな感じですよ」
「へぇ」
学食へ入った梨来は、辺りを見回した。
長い列。
料理の匂い。
トレーを持って歩く学生たち。
空いている席を探す声。
笑い声。
食器が触れ合う音。
「…………」
知っている場所なのに。
中へ入ると、外から見ていたときとは少し違って見えた。
「梨来さん、何食べます?」
「…………」
「梨来さん?」
「いっぱいあるねぇ」
「ありますよ」
「迷うね」
「なんでそんな難しい顔するんですか」
「全部ちょっとずつ食べてみたい」
「無理ですよ」
「だよねぇ」
梨来が真剣にメニューを見つめる。
希美が笑った。
「そんなに珍しいですか?」
「だって初めてだもん」
「え?」
「学食」
「…………」
希美の笑顔が止まった。
「初めて?」
「うん」
「ここの学食が?」
「学食が」
「…………」
「梨来さん」
「んー?」
「人生で?」
「うん」
「ええ!?」
近くにいた学生が振り返った。
「希美ちゃん、声」
「あ、すみません」
希美が慌てて口元を押さえる。
「待ってください。梨来さん、学食初めてなんですか?」
「そうだよ?」
「今までどうしてたんです?」
「お弁当持ってきたり、外で買ったり」
「大学で働いてるのに?」
「うん」
「なんで?」
「…………」
梨来は少し考えた。
「機会がなかったから?」
「なんで疑問形なんですか」
「ふふ」
本当は、一人で食べるだけならいつでもできた。
でも。
梨来が憧れていたものは、少し違う。
「じゃあ今日は記念日ですね!」
「記念日?」
「梨来さん、初学食記念日!」
「そんな記念日あるの?」
「今できました!」
「ふふ」
希美がメニューを指差す。
「何にします?」
「おすすめは?」
「日替わりは無難です。あとカレーも人気ですよ」
「ラーメンもある」
「あります」
「うどんも」
「あります」
「丼も」
「あります」
「…………」
「決められない?」
「うん」
「真剣すぎる!」
「何がですか?」
「人」
「お昼はいつもこんな感じですよ」
「へぇ」
学食へ入った梨来は、辺りを見回した。
長い列。
料理の匂い。
トレーを持って歩く学生たち。
空いている席を探す声。
笑い声。
食器が触れ合う音。
「…………」
知っている場所なのに。
中へ入ると、外から見ていたときとは少し違って見えた。
「梨来さん、何食べます?」
「…………」
「梨来さん?」
「いっぱいあるねぇ」
「ありますよ」
「迷うね」
「なんでそんな難しい顔するんですか」
「全部ちょっとずつ食べてみたい」
「無理ですよ」
「だよねぇ」
梨来が真剣にメニューを見つめる。
希美が笑った。
「そんなに珍しいですか?」
「だって初めてだもん」
「え?」
「学食」
「…………」
希美の笑顔が止まった。
「初めて?」
「うん」
「ここの学食が?」
「学食が」
「…………」
「梨来さん」
「んー?」
「人生で?」
「うん」
「ええ!?」
近くにいた学生が振り返った。
「希美ちゃん、声」
「あ、すみません」
希美が慌てて口元を押さえる。
「待ってください。梨来さん、学食初めてなんですか?」
「そうだよ?」
「今までどうしてたんです?」
「お弁当持ってきたり、外で買ったり」
「大学で働いてるのに?」
「うん」
「なんで?」
「…………」
梨来は少し考えた。
「機会がなかったから?」
「なんで疑問形なんですか」
「ふふ」
本当は、一人で食べるだけならいつでもできた。
でも。
梨来が憧れていたものは、少し違う。
「じゃあ今日は記念日ですね!」
「記念日?」
「梨来さん、初学食記念日!」
「そんな記念日あるの?」
「今できました!」
「ふふ」
希美がメニューを指差す。
「何にします?」
「おすすめは?」
「日替わりは無難です。あとカレーも人気ですよ」
「ラーメンもある」
「あります」
「うどんも」
「あります」
「丼も」
「あります」
「…………」
「決められない?」
「うん」
「真剣すぎる!」