シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―
10.帰り道
夕方。
仕事を終えた梨来は、事務室を出た。
廊下には講義を終えた学生たちがちらほら残っていて、友達同士で話しながら校舎を出ていく。
「今日どっか寄る?」
「駅前行こうよ」
「コンビニ寄っていい?」
そんな声が聞こえて、梨来は何となくそちらを見た。
学校が終わって、誰かと一緒に帰る。
途中で寄り道をして、どうでもいい話をしながら歩く。
きっと彼らにとっては、何でもないこと。
梨来は少しだけ、その背中を目で追った。
「梨来さん」
「んー?」
後ろから聞こえた声に振り返る。
「あ、直充くん」
肩に鞄を掛けた直充が、こちらへ歩いてくる。
「今帰りですか」
「うん。直充くんも?」
「はい」
「駅?」
「そうです」
「私も」
そのまま二人とも同じ方向へ歩き出した。
どちらから誘ったわけでもない。
けれど自然と隣に並ぶ。
「梨来さん」
「んー?」
「嬉しそうですね」
「分かる?」
「顔に出てます」
「そうなんだ」
「何かあったんですか」
「今あったよ?」
「今?」
「直充くんと一緒に帰れること」
「…………」
直充が梨来を見る。
「駅までですよ」
「うん」
「十分くらいですけど」
「知ってるよ」
「じゃあ、何がそんなに嬉しいんですか」
「学校から誰かと一緒に帰るの、やってみたかったから」
梨来は少し先を歩く学生たちを見る。
「こういうの、学生っぽいでしょ?」
「普通だと思いますけど」
「うん。だからいいの」
「…………」
直充には、まだよく分からないらしい。
それ以上は聞かず、また前を向く。
歩く速さは、梨来と同じだった。
仕事を終えた梨来は、事務室を出た。
廊下には講義を終えた学生たちがちらほら残っていて、友達同士で話しながら校舎を出ていく。
「今日どっか寄る?」
「駅前行こうよ」
「コンビニ寄っていい?」
そんな声が聞こえて、梨来は何となくそちらを見た。
学校が終わって、誰かと一緒に帰る。
途中で寄り道をして、どうでもいい話をしながら歩く。
きっと彼らにとっては、何でもないこと。
梨来は少しだけ、その背中を目で追った。
「梨来さん」
「んー?」
後ろから聞こえた声に振り返る。
「あ、直充くん」
肩に鞄を掛けた直充が、こちらへ歩いてくる。
「今帰りですか」
「うん。直充くんも?」
「はい」
「駅?」
「そうです」
「私も」
そのまま二人とも同じ方向へ歩き出した。
どちらから誘ったわけでもない。
けれど自然と隣に並ぶ。
「梨来さん」
「んー?」
「嬉しそうですね」
「分かる?」
「顔に出てます」
「そうなんだ」
「何かあったんですか」
「今あったよ?」
「今?」
「直充くんと一緒に帰れること」
「…………」
直充が梨来を見る。
「駅までですよ」
「うん」
「十分くらいですけど」
「知ってるよ」
「じゃあ、何がそんなに嬉しいんですか」
「学校から誰かと一緒に帰るの、やってみたかったから」
梨来は少し先を歩く学生たちを見る。
「こういうの、学生っぽいでしょ?」
「普通だと思いますけど」
「うん。だからいいの」
「…………」
直充には、まだよく分からないらしい。
それ以上は聞かず、また前を向く。
歩く速さは、梨来と同じだった。