シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―
店内へ入る。
飲み物、お菓子、パン、新商品。
必要なものを買うためなら、何度も来たことがある場所。
けれど今日は、いつもよりゆっくり棚を眺めた。
「あ、新しいの出てる」
手には取らず、そのまま隣の商品を見る。
少し歩いて、また止まる。
そんな梨来を見ていた直充が口を開いた。
「梨来さん、コンビニ珍しいんですか?」
「違うよ?」
「すごい見てますけど」
「……楽しいだけ」
「コンビニが?」
「こういうのが」
「こういうの?」
「帰り道に一緒に寄って、何買おうかなぁって見てるの」
梨来は棚へ視線を戻した。
「やってみたかったから」
「普通のコンビニですよ」
「知ってるよ」
「いつでも来られるでしょう」
「一人で来るのとは違うでしょ?」
「そういうものですか」
「私にとってはね」
「…………」
直充はそれ以上聞かなかった。
ただ、今が楽しい。
それだけで十分だった。
飲み物の棚の前で足を止める。
「どっちにしようかなぁ」
二本を見比べていると、隣から声がした。
「そっちでいいんじゃないですか」
「こっち?」
「はい」
「どうして?」
「梨来さん、さっきからそっちの方がよく見てるので」
「…………」
梨来は飲み物から直充へ視線を移した。
「見てたの?」
「隣にいるんだから、分かるでしょう」
「そうなんだ」
もう一度、二本を見比べる。
それから直充が言った方を手に取った。
「じゃあ、これにする」
「結局俺が決めるんですか」
「決めたのは私だよ」
「俺に聞いたでしょう」
「直充くんは、私がよく見てた方を教えてくれただけ」
「そうですか」
「うん。ありがと」
「それでお礼言われるんですか」
「言いたかったから」
「…………」
梨来は飲み物を籠へ入れた。
自分でも気づいていなかった小さなことを、直充は見ていた。
それが嬉しくて、籠の中をもう一度見る。
「お菓子も見ていい?」
「どうぞ」
「直充くんも来る?」
「ここで待つ理由もないでしょう」
「じゃあ行こっか」
飲み物、お菓子、パン、新商品。
必要なものを買うためなら、何度も来たことがある場所。
けれど今日は、いつもよりゆっくり棚を眺めた。
「あ、新しいの出てる」
手には取らず、そのまま隣の商品を見る。
少し歩いて、また止まる。
そんな梨来を見ていた直充が口を開いた。
「梨来さん、コンビニ珍しいんですか?」
「違うよ?」
「すごい見てますけど」
「……楽しいだけ」
「コンビニが?」
「こういうのが」
「こういうの?」
「帰り道に一緒に寄って、何買おうかなぁって見てるの」
梨来は棚へ視線を戻した。
「やってみたかったから」
「普通のコンビニですよ」
「知ってるよ」
「いつでも来られるでしょう」
「一人で来るのとは違うでしょ?」
「そういうものですか」
「私にとってはね」
「…………」
直充はそれ以上聞かなかった。
ただ、今が楽しい。
それだけで十分だった。
飲み物の棚の前で足を止める。
「どっちにしようかなぁ」
二本を見比べていると、隣から声がした。
「そっちでいいんじゃないですか」
「こっち?」
「はい」
「どうして?」
「梨来さん、さっきからそっちの方がよく見てるので」
「…………」
梨来は飲み物から直充へ視線を移した。
「見てたの?」
「隣にいるんだから、分かるでしょう」
「そうなんだ」
もう一度、二本を見比べる。
それから直充が言った方を手に取った。
「じゃあ、これにする」
「結局俺が決めるんですか」
「決めたのは私だよ」
「俺に聞いたでしょう」
「直充くんは、私がよく見てた方を教えてくれただけ」
「そうですか」
「うん。ありがと」
「それでお礼言われるんですか」
「言いたかったから」
「…………」
梨来は飲み物を籠へ入れた。
自分でも気づいていなかった小さなことを、直充は見ていた。
それが嬉しくて、籠の中をもう一度見る。
「お菓子も見ていい?」
「どうぞ」
「直充くんも来る?」
「ここで待つ理由もないでしょう」
「じゃあ行こっか」