シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―
駅が見えてきた。
「あ」
梨来の歩く速度が少しだけ緩む。
「着いちゃった」
「着きますよ。駅に向かってたんだから」
「そうなんだけどねぇ」
いつもなら何とも思わない距離なのに、今日は少し短かった気がする。
改札の前まで来る。
「梨来さん、どっちですか」
「こっち」
「俺は反対です」
「そっか」
ここで終わり。
そう思うと、少し名残惜しい。
「今日、楽しかった」
「コンビニですか」
「それも」
「他にも?」
「直充くんと一緒に帰ったこと」
「…………」
「寄り道も初めてだったし」
直充が梨来を見る。
「楽しかったですか」
「すごく」
「それならよかったです」
「直充くんのおかげだね」
「俺、帰ってただけですけど」
「一緒にいてくれたでしょ?」
「…………」
「それでいいの」
直充が黙る。
改札へ向かう人たちが、二人の横を通っていった。
「ちょっと終わるの、もったいないなぁ」
思ったままを口にすると、直充が梨来を見る。
「変かな?」
「いや」
少しだけ視線を外してから。
「変じゃないです」
「よかった」
短い間が空く。
それから直充が言った。
「じゃあ、また帰ればいいでしょう」
「…………」
梨来が顔を上げる。
「一緒に?」
「時間合えば」
「今日みたいに?」
「はい」
梨来の頬が緩んだ。
「じゃあ、また帰ろっか」
「はい」
「たまには寄り道もしようね」
「もう決まってるんですか」
「嫌じゃないでしょ?」
「まあ」
「じゃあ決まり」
「…………」
梨来は自分の改札へ向きかけて、もう一度直充を見る。
「また一個、楽しみが増えた」
「学食もありますけど」
「覚えてた」
「約束したでしょう」
「うん」
また一緒にご飯を食べる。
また一緒に帰る。
何でもない予定なのに、次があると思うだけで嬉しい。
「直充くん」
「はい?」
「またね」
「はい。また」
二人はそれぞれ反対方向へ歩き出した。
数歩進んだところで、梨来は振り返る。
直充も、こちらを見ていた。
「…………」
目が合った。
梨来は小さく手を振る。
直充も片手を上げた。
それだけで、胸の奥が少し温かくなった。
「あ」
梨来の歩く速度が少しだけ緩む。
「着いちゃった」
「着きますよ。駅に向かってたんだから」
「そうなんだけどねぇ」
いつもなら何とも思わない距離なのに、今日は少し短かった気がする。
改札の前まで来る。
「梨来さん、どっちですか」
「こっち」
「俺は反対です」
「そっか」
ここで終わり。
そう思うと、少し名残惜しい。
「今日、楽しかった」
「コンビニですか」
「それも」
「他にも?」
「直充くんと一緒に帰ったこと」
「…………」
「寄り道も初めてだったし」
直充が梨来を見る。
「楽しかったですか」
「すごく」
「それならよかったです」
「直充くんのおかげだね」
「俺、帰ってただけですけど」
「一緒にいてくれたでしょ?」
「…………」
「それでいいの」
直充が黙る。
改札へ向かう人たちが、二人の横を通っていった。
「ちょっと終わるの、もったいないなぁ」
思ったままを口にすると、直充が梨来を見る。
「変かな?」
「いや」
少しだけ視線を外してから。
「変じゃないです」
「よかった」
短い間が空く。
それから直充が言った。
「じゃあ、また帰ればいいでしょう」
「…………」
梨来が顔を上げる。
「一緒に?」
「時間合えば」
「今日みたいに?」
「はい」
梨来の頬が緩んだ。
「じゃあ、また帰ろっか」
「はい」
「たまには寄り道もしようね」
「もう決まってるんですか」
「嫌じゃないでしょ?」
「まあ」
「じゃあ決まり」
「…………」
梨来は自分の改札へ向きかけて、もう一度直充を見る。
「また一個、楽しみが増えた」
「学食もありますけど」
「覚えてた」
「約束したでしょう」
「うん」
また一緒にご飯を食べる。
また一緒に帰る。
何でもない予定なのに、次があると思うだけで嬉しい。
「直充くん」
「はい?」
「またね」
「はい。また」
二人はそれぞれ反対方向へ歩き出した。
数歩進んだところで、梨来は振り返る。
直充も、こちらを見ていた。
「…………」
目が合った。
梨来は小さく手を振る。
直充も片手を上げた。
それだけで、胸の奥が少し温かくなった。