シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―
 ホームで電車を待ちながら、梨来は残っていたチョコレートを一つ口へ入れた。

「…………」

 同じ味。

 なのに。

「……さっきの方が美味しかったかも」

 直充と一緒に食べたから。

 学校帰りに誰かと歩くことも、途中で寄り道することも、やってみたかった。

 今日はそれができた。

 だから楽しかった。

 でも。

『直充くんと一緒だから、こんなに楽しいのかなぁ』

 自分で言った言葉が浮かぶ。

 誰とでも、こんなに楽しいのだろうか。

 まだ分からない。

 ただ、次も直充と一緒がいいと思っている。

 また一緒にご飯を食べる。

 また一緒に帰る。

 その〝また〟が、今は楽しみだった。
< 71 / 97 >

この作品をシェア

pagetop