シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―
 反対側のホーム。

 直充は電車を待ちながら、さっきの梨来を思い出していた。

『直充くんと一緒だから、こんなに楽しいのかなぁ』

「…………」

 学校から駅まで歩いただけ。

 途中でコンビニに寄って、チョコを一つ食べただけ。

 直充にとっては、どれも普通のことだった。

 それなのに梨来は、ずっと楽しそうだった。

『前より、私のこと分かるようになった?』

 飲み物を見ていたことも。

 楽しそうにしていたことも。

 言われてみれば、いつの間にか気づくようになっていた。

 そして。

『もう一回笑って?』

『見たいから』

「…………」

 あの言葉も、まだ頭に残っている。

 電車がホームへ入ってきた。

 次に一緒に帰ったとき。

 梨来はまた、今日みたいに楽しそうにするのだろうか。

 直充には分からない。

 ただ。

 次に帰る時間が重なる日を、少しだけ楽しみにしていた。
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