シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―
 昼休みが終わる頃。

「じゃあ私、授業行きます!」

「うん。頑張ってね」

「梨来さんも仕事頑張ってください」

「ありがとう」

 希美が立ち上がる。

 数歩進んで、振り返った。

「梨来さん」

「ん?」

「今日、直充先輩に会えるといいですね」

「うん」

「会えたらいいな」

「やっぱり!」

「何が?」

「なんでもないです!」

 梨来は一瞬、希美を見る。

 それから笑った。

「希美ちゃんがそれ言うんだ」

「あ」

 二人で笑う。

「行ってきます!」

「行ってらっしゃい」

 希美が去っていく。

 梨来は残っていた飲み物を手に取った。

『会いたい』

 さっき口にした言葉を。

 もう一度だけ思い出した。
< 77 / 97 >

この作品をシェア

pagetop