転生悪役令嬢が名探偵ですわ!?

15話 悪役令嬢、真相に近付いておりますわ!?

 生徒会室を出ると。

「どうだった?」

 廊下で待っていたカイルが尋ねた。

「リリアさんは、事件前から誰かに監視されていたようですわ」

「……そうなんだ」

 カイルは難しい顔をした。

「それなら、犯人は事件の直前に突然現れた人物じゃないかもしれないね」

「ええ」

「ずっとリリアを見ていた人物」

 その言葉に。

 アリアは足を止めた。

「……そうですわ」

「どうしたの?」

「犯人は、リリアさんの行動をかなり詳しく知っていた」

「うん」

「だから、彼女を旧図書塔へ呼び出すことができた」





 再び旧図書塔。

 アリアは事件現場の扉を前にしていた。

「鍵は内側からかかっていた」

「そう」

 カイルも横で確認する。

「窓は?」

「開いていた形跡なし」

 アリアは扉の隙間を覗き込む。

 そして。

「…………」

 扉の金具。

 鍵穴。

 床。

 以前見つかった、ほんの小さな傷。

「これですわ」

「何か分かった?」

「まだ仮説ですけれど」

 アリアは指先で床の傷をなぞる。

「細い糸のようなものを使った」

「糸?」

「ええ」

 鍵に細い糸を結びつける。

 犯人は部屋から出る。

 そして外から糸を引く。

 鍵が回る。

 最後に糸だけを回収する。

「だから犯人は、鍵を持ち出す必要がなかった」

「なるほど」

「問題は――」

 アリアは顔を上げる。

「誰がこんな仕掛けを知っていたのか」

「…………」

 特殊なインク。

 皇太子の部屋。

 リリアへの監視。

 旧図書塔。

 密室。

 そして。

 犯人は、これら全てを繋げられる人物。

「…………」

 少しずつ。

 少しずつ。

 何かが形になっていく。

「もう少しですわ」

 ――そう。

 もうすぐ。

 全てが繋がる。

 そんな確信が。

 胸の奥に生まれていた。
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