転生悪役令嬢が名探偵ですわ!?

7話 悪役令嬢、調査開始ですわ!?

旧図書塔。

 事件から数時間が経っても、アリアは現場を離れなかった。

 机。

 窓。

 扉。

 天井。

 何度見ても、何も変わらない。

 ただ一つだけ。

 どうしても納得できない。

「……鍵」

 アリアは扉の前で呟いた。

 部屋の鍵は、学園の管理者しか持っていない。

 生徒が勝手に持ち出すことはできない。

 事件当時、旧図書塔の鍵を使えるのは教師と管理人だけ。

 つまり。

「この部屋を施錠することができるのは管理人のみ」

 アリアは腕を組んだ。

 しかし犯人候補の生徒たちは、誰一人として鍵を入手できない。

「では、犯人は教師?」

 可能性としてはある。

 だが、教師たちは事件当時、それぞれ授業を担当している。

 校内じゃ教師というのは目立つ。

アリバイもある。

「……それとも」

 アリアは扉の鍵穴へ顔を近づけた。

「鍵を使わずに、鍵をかけた?」

 その時。

「そう考えるのが自然だと思う」

 背後から声がした。

「――カイル」

 振り返る。

 そこにはカイルが立っていた。

 事件の被害者、リリアの幼馴染。

 彼は少し疲れた顔で笑った。

「まだ調べていたんだね」

「ええ」

「君が疑われているから?」

「それもありますけれど」

 アリアは扉を見た。

「リリアさんを殺した犯人を捕まえたいんですの」

 カイルは一瞬驚いた表情になった。

「……そう」

「何か思いつきまして?」

「いや」

 カイルは首を横に振る。

「僕も、鍵のことが気になっただけだよ」

 そして扉を見る。

「生徒が鍵を持てないなら、鍵を使ったとは考えにくい」

「でしょう?」

「だったら、鍵がかかっていたこと自体がトリックなのかもしれない」

「……どういうことですの?」

「鍵をかけたんじゃない

鍵がかかっているように見せた。とか」

 アリアは黙ってカイルを見る。

「でも、どうやって?」

「さぁ」

俯いて考えるアリア。

 カイルは静かに笑って部屋を出ていった。

「名探偵さん、頑張って」
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