先輩の愛に溺れる。
しばらくして、ルシアンは人の多い広場から離れ、学園の奥にある星見の塔へセレナを連れていった。

そこは祭りの日でも静かな場所だった。
高い塔の上からは、光にあふれた学園と夜空の星がどちらも見える。

「きれい……」

セレナが手すりに寄って空を見上げると、背後からルシアンがそっと包みこむように抱きしめた。

「る、ルシアン先輩」

「今は先輩じゃなくていい」

囁く声が近い。
背中越しに感じる体温に、息が浅くなる。

「名前で呼んで」

「……ルシアン」

たったそれだけなのに、彼の腕の力が少し強くなった。

「もう一回」

「ルシアン……」

満足したように、彼はセレナの髪に顔をうずめる。

「好きだ」

まっすぐで、熱のこもった声だった。

「誰よりも大事で、誰にも渡したくない」

セレナは胸がいっぱいになって、ゆっくり振り返った。
近すぎる距離で見つめ合うと、逃げ場なんてどこにもない。
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