先輩の愛に溺れる。
祭りの道は人でいっぱいだった。
けれどルシアンはずっとセレナの手を離さない。

屋台で光る砂糖菓子を買ってくれたり、魔法で動く小さなぬいぐるみを見せてくれたり、噴水広場で空に上がる花火魔法を一緒に見たり。
どの時間も夢みたいだった。

「楽しいか?」

「はい。すごく」

そう答えると、ルシアンは安心したように微笑む。

「お前が笑ってると、ほんとにそれだけで満たされる」

「先輩は、そういうことをさらっと言いすぎです……」

「恋人なんだから普通だろ」

普通じゃないです、と言い返したかったのに、恥ずかしくて言えない。

そのとき、すれ違った男子生徒たちがセレナを見てひそひそと話すのが聞こえた。

「今日のセレナ、すごく可愛くないか」 「ルシアン先輩と並ぶと目立つな」

次の瞬間、ルシアンの足が止まった。

空気が少し変わる。
セレナが振り向くより先に、ルシアンは彼女の肩を抱き寄せた。

「先輩……?」

「聞こえた」

低い声だった。
けれど怒鳴るわけではなく、ただ静かに独占欲がにじんでいる。

「褒められるのは嬉しい。でも、あんまり他のやつに見せたくない」

セレナの鼓動が速くなる。

「お前が可愛いのなんて、俺がいちばん知ってるから」

耳元で囁かれて、セレナは言葉を失った。
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