先輩の愛に溺れる。

第四章

そのあとも、レオネルは何かとセレナに話しかけてきた。

廊下ですれ違えば微笑み、図書室では隣の席に座り、昼休みには王都の珍しい話を聞かせてくれる。
物腰はやわらかく完璧で、周囲の女子たちはうっとりしていた。

けれどセレナは落ち着かない。
なぜなら、そのたびにルシアンの機嫌がどんどん悪くなっていくからだ。

そして放課後。
人の少ない渡り廊下で、ついに捕まった。

「セレナ」

呼ばれた瞬間、腕を引かれて壁際へ連れていかれる。
気づけば、目の前にはルシアンの顔。逃げられない距離だ。

「先輩……?」

「殿下とずいぶん楽しそうだったな」

声は穏やかなのに、目が全然笑っていない。

「ち、違います。私はただ話を聞いてただけで……」

「手、触られてた」

ぼそっと落ちた一言が、思った以上に拗ねていて、セレナは思わず瞬いた。
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