先輩の愛に溺れる。
そのとき、渡り廊下の奥から足音がした。
振り向くと、そこにはレオネルが立っていた。

「邪魔をしてしまったようですね」

にこやかな王子に対して、ルシアンはセレナの肩を抱き寄せたまま離さない。

レオネルは少しもひるまず、優雅に笑う。

「ですが、諦めるつもりはありません。セレナ嬢に興味があります」

「殿下」

ルシアンの声が低く沈む。

「遊びなら相手しませんよ」

「遊びではありませんよ」

王子の碧眼が細められる。

「彼女は特別だ。おそらく本人が思っている以上に」

その言葉に、セレナの胸がざわつく。
まるで秘密の力に気づいているみたいだった。

けれど次の瞬間、ルシアンがセレナの前に立つ。

「何を知っていても関係ない」

彼は振り返り、セレナの頬にそっと触れた。

「この子は俺が守る」

その声は、静かなのに強かった。

「誰が相手でも譲らない。王子でも、何でも」

レオネルは少しだけ肩をすくめ、意味ありげに微笑む。

「では、これからが楽しみですね」

そう言い残して去っていく背中を見送りながら、セレナは不安とどきどきで胸がいっぱいになる。

するとルシアンが、ふいに額を寄せてきた。

「怖いか」

セレナは少しだけ迷ってから、正直にうなずいた。

「少しだけ……」

「なら、もっとそばにいろ」

ルシアンはそう言って、セレナを抱きしめる。
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