先輩の愛に溺れる。
「る、ルシアン先輩……近いです」

「近づかないと、お前すぐ逃げるだろ」

ルシアンはそう言って、セレナの机に手をついた。
まるで囲うみたいに。

セレナの顔は一気に熱くなる。
ルシアンは昔からなぜかセレナにだけ甘かった。

授業中に体調が悪そうならすぐ気づくし、重い本を持てば黙って奪っていくし、他の男子が話しかけているとあからさまに不機嫌になる。

そのたびに周りの女子はざわつくけれど、ルシアンはまるで気にしない。

「放課後、旧図書塔に来い」

「え?」

「大事な話がある」

それだけ言うと、ルシアンは教室を出ていった。
残されたセレナの胸は、どきどきとうるさいままだった。
< 2 / 35 >

この作品をシェア

pagetop