先輩の愛に溺れる。

第五章

放課後の図書室は、いつもより静かだった。
窓の外では夕暮れが少しずつ濃くなり、本棚の影が床に長く伸びている。

セレナは高い棚の奥で、魔法史の本を探していた。
最近、妙に胸が落ち着かない。レオネル王子の視線と言葉が、ずっと気になっていたからだ。

あの人は、何かを知っている。
そんな気がしてならなかった。

ようやく目当ての本を見つけ、ほっと息をついたそのとき。

「やはりここにいましたか」

不意に背後から声がして、セレナはびくりと肩を震わせた。

振り向くと、そこにはレオネルが立っていた。
夕暮れの光を背にしたその姿はやわらかく微笑んでいるのに、どこか逃がしてくれない空気がある。

「お、王子殿下……」

「そんなにかしこまらないでください。今日はただ、少しお話がしたいだけです」
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