先輩の愛に溺れる。
レオネルはセレナの逃げ道をふさぐように、本棚と彼女の間に立った。
壁際まで追いつめられたような距離に、息が詰まる。

「先日の実技演習。あなたが一瞬だけ放った力を見ました」

セレナの顔から血の気が引く。

「普通の魔力ではありませんね」

「私は……」

否定しようとしても、声が出ない。

レオネルは責めるでもなく、ただ静かに見つめてくる。

「安心してください。今ここで誰かに話すつもりはありません」

「……どうして」

「あなたが怯える顔を見たいわけではないからです」

あまりにやさしい声で言うから、逆に怖い。

「けれど、知りたいとは思っています」

レオネルの碧い瞳が、まっすぐセレナをとらえる。

「あなたはいったい何者なのか」

その言葉に、セレナの胸が苦しくなる。
自分でもわからない。隠して、怯えて、守られてばかりだったから。
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