先輩の愛に溺れる。
「言えません……」

小さく絞り出すと、レオネルは少しだけ目を細めた。

「では質問を変えましょう」

彼の手がそっと本棚につき、さらに距離が近づく。

「あなたは、その秘密を抱えたまま、彼だけに守られているつもりですか」

「え……」

「ルシアンは優秀です。ですが、彼ひとりで王国の思惑すべてからあなたを守りきれるとは限らない」

その言葉は、セレナが心の奥でいちばん恐れていたことだった。

ルシアンは強い。
でももし、秘密が王都に知られたら。王家や貴族たちまで動き出したら。
本当にふたりだけで立ち向かえるのだろうか。

揺れた心を見抜いたように、レオネルは静かに微笑む。

「私なら守れますよ」

「殿下……」

「王子という立場は、こういうとき便利です」

やわらかな言い方なのに、ひどく現実的で、甘い誘惑みたいだった。
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