先輩の愛に溺れる。
「もちろん、無理に聞き出すつもりはありません」

レオネルはそう言いながら、そっとセレナの髪に触れかける。

けれどその瞬間。

「その手、引いてもらえますか」

空気が一変した。

振り向くと、図書室の入口にルシアンが立っていた。
青い瞳がまっすぐこちらを射抜いている。その静かな怒りに、セレナの胸が大きく鳴った。

「ルシアン……」

彼はゆっくり歩いてきて、セレナを自分の背中側へ隠す。
まるで当然みたいに。

「殿下。人の恋人を密室で追いつめる趣味があるとは知りませんでした」

レオネルは肩をすくめた。

「誤解ですよ。少し話していただけです」

「泣きそうな顔をさせておいて?」

ルシアンの声が低く落ちる。
そのひと言で、セレナは初めて自分がどれだけ緊張していたのか気づいた。
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