先輩の愛に溺れる。
「セレナは俺の恋人です」

中庭に、ルシアンの声がはっきり響く。

周囲の生徒たちが息をのむのがわかった。
噂ではなく、本人の口から。しかもこんな堂々と告げられたのだ。

セレナの顔は一気に熱くなる。

「先輩……」

「聞こえなかったならもう一度言います」

ルシアンはそう言って、さらにセレナを引き寄せた。

「この子に気安く近づかないでください。選ぶのは本人でも、守るのは俺です」

その言葉は強引なのに、不思議と冷たくはなかった。
自分を守るために言ってくれているのがわかるからだ。

レオネルはふっと微笑む。

「ずいぶん余裕がないように見えますね」

「余裕なんて最初からいりません」

ルシアンは即答した。

「好きな相手を前にして、他人に余裕ぶる趣味はない」

あまりにも真っ直ぐで、セレナの胸がぎゅっとなる。

周りのざわめきはどんどん大きくなっていた。
けれど今のセレナには、ルシアンの腕のぬくもりしか感じられない。
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