極上シークレットマタニティ~黒川家がまだ知らない、たったひとりの跡継ぎ~
離れていた時間を埋めていくかのように、隅々まで丁寧に愛撫されていく。全身の熱が上がっていくのを感じながら、婚姻を結んだ日の喜びを思い返していた。触れられるたびに、思考がほどけていく。
「美莉」
恍惚とした中で名前を呼ばれた気がした。
ちゃんと聞き取れないまま、意識が揺れる。
指先で顎を軽く上げられ、抗えない角度で視線が絡んだ。
「愛してる」
唇が触れ合いそうな距離で愛を囁かれ、深く口づけられる。同時に彼の熱を全身で受け止めた。
体を重ねながら、冷静な自分が囁く。
いったいなにをしているのか、と……。
バッグの中に忍ばせてきた離婚届は、今か今かと出番を待っている。