極上シークレットマタニティ~黒川家がまだ知らない、たったひとりの跡継ぎ~
創史さんの帰国を祝う食事会は、本館ダイニングにて家族だけでテーブルを囲んで行われた。
少し早い帰宅をした創史さんに続いて、義両親が揃って到着された。
食事までの時間、創史さんはリビングで義両親と今回の渡米の成果について語られ、私はその横で邪魔にならないように話を聞きながら、お茶の提供に気を配っていた。
ダイニングの用意が整ったと使用人から声をかけられたのは、お祖父様が到着されて間もない十七時五分前。
向かった本館ダイニングの長いテーブルには、格式高い装花が華やかに迎える。
テーブルは上席からお祖父様、その手前に義両親、お義母様の手前に創史さん、お義父様の手前に紫乃さん。
私は創史さんのとなりに席が用意されていた。
帰国初日の食事会のコースについては、料理長と相談して和洋折衷よりのコースをお願いしている。疲れた胃に優しいというのも重要なポイントだ。
無事の帰国を祝って乾杯をし、和やかに食事会は始まる。
漆盆には、小さな硝子鉢。そこへ、料理長自ら先付を運んでくる。新緑豆腐、雲丹、順才、柚子という五月らしい品が並んだ。
季節感を大切にしたいと料理長に相談したことがしっかり反映されている。
となりの創史さんが箸を取り、ひと口目を口に運ぶ。味わうように目を伏せたのを見て、倣って食事を始めた。