極上シークレットマタニティ~黒川家がまだ知らない、たったひとりの跡継ぎ~
***
「まぁ、三組に一組が離婚するとかっていうもんねぇ」
ランチ後のデザートで運ばれてきた焼きたてのアップルパイにナイフを入れながら、ひまりが呟く。
私も同じように、ひと口大に切ったアップルパイに添えられている生クリームをつけた。
「その一組に当てはまるのが自分っていうのは、なんとも言えないけど……」
日曜の昼下がり。窓の外では新緑のけやきが気持ちいい五月の風に揺れている。
大学時代からの親友、後藤ひまりとは月に一度ほどのペースでランチをしている。学生時代から唯一ずっと付き合いがある大切な友人だ。
「でも、新婚早々に新妻を置いてひとり海外って、仕事かもしれないけど一年は長いよ。本当はもう少し短い予定だったんでしょ? ついても行けなかったんだし、美莉が離婚考えるのはまとも」
「ついて行かなかったのは、私の希望でもあるから。当初は、半年くらいの見込みだった。仕事の状況でわからないとは言ってたけど……」
「いや、でもさ、美莉が寂しい思いしてるってわかってるのかな。わかってたら、離れててももっと気遣ってくれてもよくない?」