極上シークレットマタニティ~黒川家がまだ知らない、たったひとりの跡継ぎ~
「気遣い……電話とかは、時差で難しい感じもあるし、メッセージのやり取りも、元々好きな人じゃないし……」
やんわりと言っているけれど、実際は渡米してから一度も通話していないし、メッセージでのやり取りもしていない。
夫である創史さんの家族からは、私からの連絡は控えるように、彼から連絡がきたときのみ応対してほしいと言われている。異国の地で、極力負担にならないようにということだ。
「富豪なんだから、たとえばまめに妻に贈り物送ってくるとかさ」
「そんな、物なんて欲しくないよ」
「いや、自分のために選んで贈ってくれたって思ったら嬉しくない? 気にしてくれてるんだって」
「そっか、確かに……。でも、それも難しいんじゃないかな」
ひまりは「ハァ」と小さくため息をつく。
「まぁ、美莉の旦那様は世界を動かすような立場の人だからね、私なんかにどんなに大変なのかはわからないけど……でも、美莉が結婚したときにすっごく幸せそうだったの知ってるから、離婚を考えるまでになってることがなんか悲しくて」
「ひまり……」
「でも、美莉の心のままに決めればいいんだよ。美莉の人生なんだから」