極上シークレットマタニティ~黒川家がまだ知らない、たったひとりの跡継ぎ~
結婚してもうすぐ一年。
新婚真っ只中でいっときも離れたくない時期のはずなのに、旦那様は遠く離れたニューヨークにいる。
黒川財閥、黒川家の次期当主、黒川創史。日本屈指の財閥の次期当主が、私の旦那様だ。
黒川財閥は、創業一八六九(明治二年)、幕末に長崎で外国商人との取引を行っていた商人、黒川玄之助によって創業された。いわゆる、幕末から明治にかけての貿易商だ。
明治政府の開国政策を追い風に、生糸や茶、海運の貿易で巨万の富を築いたと言われている。
その後、海運業と金融業に進出し、日本有数の財閥へと発展した。
現在は持ち株会社、『黒川ホールディングス』を頂点とする巨大企業グループとして国内外に拠点を持っている。
黒川ホールディングスの役員である創史さんは、現在ニューヨークへ海外投資部門の責任者代理として出向いている。
噂によると義父から『海外で結果を出してこい』との言いつけで〝次期当主試験〟みたいなものだという。
婚姻後、結婚式を終えた昨年の五月。創史さんはニューヨークへ渡った。
結婚が決まって一緒にいられた期間はたった半年足らず。
渡米は、これからやっと一緒にいられるようになると思った矢先の決定だった。