極上シークレットマタニティ~黒川家がまだ知らない、たったひとりの跡継ぎ~
「でもさ、美莉と旦那様はお見合いで一緒になったというよりは、昔から顔見知りで好きで婚約したわけじゃない? 旦那様だって、失敗なんて思わないでしょ」
「どうだろう……」
自信のない返事しかできない自分が情けない。
創史さんとの出会いは、もう記憶にほとんどない幼少期。
年に何度か、本家でのパーティーで顔を合わせていた。
大人ばかりのかしこまった会で、子どもたちは自然と一緒に遊ぶ機会ができ、私は幼い頃から創史さんに懐いていたという。
四歳年上の創史さんは、子ども時代の私にとって年の離れたお兄さんだった。
今でもよく覚えているのは、私が中学一年生の頃。
そのとき、創史さんは高校二年生。中学に上がったばかりの自分から見て、高校生の創史さんは物凄く大人に見えた。
受験のため、中学に入ってから本家のパーティーにも数年顔を出さなかった創史さんと久しぶりに会って、急激に青年になってしまった姿に子どもながらに緊張した。
加えて、私自身も思春期に入りかけていた年頃で、それまでのように気軽に創史さんに近づけなかった。
しかし、遠目から羨望の眼差しを向けるしかできない私に、創史さんは自ら声をかけに来てくれた。
数年ぶりでも変わらず気さくにいろんな話をしてくれ、嬉しくて心が弾んだのを今でもよく覚えている。