急募 ガチムチ婚約者募集 *但し45歳以上に限る
27
なんだろ…温かくていい匂いがする……それに、ムニムニと気持ちがいい……なんだろコレ…とても心地がよく離れ難い……でもそろそろ起きなきゃ……ダメ、瞼が重い……
「こら、ミーリアム」
「……ん……?」
名前を呼ばれ、微睡む意識の中、ゆっくりと瞼を開けた。
「おはよう」
「──ん゛!?!?!」
真っ先に飛び込んできたのは、麗しきアイヴァン様のご尊顔。そして、ムニムニと触りまくっていたのはアイヴァン様の分厚い鳩胸。
寝起き一発目に見るアイヴァン様の破壊力たるや…眩しすぎて直視できない。
「その…大丈夫か?」
「へ!?」
枕に顔を埋め、照れた姿を見せられキュッと喉が鳴った。
(か、可愛い……!)
反則級の可愛さに息が止まりかけた。いや、数秒止まった。
昨夜のことだが、単刀直入に言えば未遂。
大人の色気と感じたことの無い快感に私がついていけずキャパオーバー。寸前のところで気を失ってしまった。
尽くどうしようもないと思うが、こればっかりは無理だって。アイヴァン様の本気はマジでヤバい。心臓が飛び出さなかっただけ頑張ったと思いたい。
「すまなかった。頭に血が昇り過ぎて、余裕がなかった」
「いいえ、アイヴァン様は悪くありません。私こそごめんなさい。その……レスターの事なんですけど……」
寝起きに話す事じゃないとは思うが、アイヴァン様の事を思うなら早めに言ってしまった方がいい。
そこで私は、アイヴァン様が視察に出てからの屋敷での過ごし方と、出来事を全て包み隠さず話して聞かせた。まあ、最初の一週間はアイヴァン様ロスで部屋から一歩も出ていないし、重点はレスターとのことだろうから、そこは詳しく何処へ行って何を買ったのか。なんなら滞在時間まで事細かに話した。その上で、何もなかったことを改めて伝えた。
「疑うのなら、店に問い合わせてくれて構いません」
「いや、君の話に穴はなかった。……大方、彼が意図して仕組んだことなのだろう」
「え?」
アイヴァン様の考察では、巡回の騎士が歩いてるのを見たレスターが私を上手く誘導してキスしている様に見せたのだろうという事だった。
「私が君を目撃したと言う騎士に確認してから来ればよかったのだが……気が急いてしまった」
まさかレスターが?という思いがあるが、アイヴァン様の怒りを目の当たりにしているので疑う余地がない。
「なんで、そんな手の込んだことを?」
「私との仲を裂きたいのだろう」
レスターは私を応援してくれているものだと思ってたけど違ったの?
「今後も彼に振り回されるのは御免だ。今から彼に会って話をつけてくる」
ベッドを下り、床に落ちていたシャツに腕を通す姿を見て、思わず「私も行きます!」そう叫んでいた。
***
身支度を整え、アイヴァン様と共にマクナリー侯爵邸へやって来た。
「お待たせしました」
レスターは、突然の訪問にも顔色一つ変えずやって来た。
「団長様がわざわざ出向くとは珍しいですね。……で?ご要件は?」
目を光らせて訪問理由を訊ねてくる。
頭の良いレスターなら私とアイヴァン様が一緒に来た時点で察しているはず。敢えて訊ねてくる時点で、手間取りそうな予感しかしない。
口を挟みたいが、ここに来る前にアイヴァン様に「君は黙って隣にいてくれればいい」と言われてしまった手前、口が挟めない。
どうするんだろう……
チラッと隣のアイヴァン様に視線を向けると、アイヴァン様がレスターに向かって深々と頭を下げているではないか。
「え、は!?アイヴァン様!?」
ギョッとして声を張り上げるが、アイヴァン様は頭を上げることはしない。
「ミーリアムを私に譲って頂きたい」
狼狽える私には目を向けず、落ち着いた声色で言った。
「君がミーリアムを特別に想っている事も、私の事をよく思っていない事も分かっている。だが、今更ミーリアムを他の男には渡せない。どうか…頼む」
敵意も向けず、誠心誠意自分の想いを伝えるアイヴァン様。自分たちを引き裂こうとした相手に頭を下げるなんて、常人には出来ない所業だ。
「貴方の気持ちは分かりました。先ずは頭を上げてください」
今まで黙っていたレスターが声をかけた。
「貴方は何か勘違いしていますね。私がいつミーリに好意があると言いました?」
「「は?」」
これには私も声を上げた。
「誤解されるような行動を取ってたのは認めましょう。ですが、好意があると明言したことは一度もないはずです」
「「は?」」
私もアイヴァン様もレスターが何を言っているのか分からず、口を開けたまま茫然となってる。
「いやいやいや、おかしいおかしい。じゃあ、なんで誤解されるような事したの!?」
真っ先に口を開いたのは私。すると「フッ」と目を細めながら私を見つめてくる。
「私にとってミーリアムは、血の繋がらない大切な妹なんです。その妹を預けるのですから、多くの障害を軽く乗り越える者じゃないと任せられないと思ったんですよ」
「はァァァァァァ!?」
怒りと呆れを通り越して、具合が悪くなってきた。
妹だと思って大事にしてくれたのは率直に嬉しい。けどね、やり方!もう少しやり方があったはずでしょうよ!
「……私とキスした風に見せたのは?」
「あぁ、それはですね。遠征先でミーリの不貞を知った団長殿が、どんな態度を見せるか知るためですよ」
ふふっと笑ってみせるが何も面白くないからな。
「他人の話だけを信じて婚約を破棄を申し入れる不届き者か、ミーリアムの話をちゃんと聞き入れ、それを信じる優等生か……団長殿が後者の方で良かったです」
満足気なレスター。
拗らせ男子もここまで来たら、ただの有害。相手がアイヴァン様じゃなかったらマジで終了案件だった。
それをコイツは私の為だと?ふざけるな!
「レスター!あんたね──!」
フツフツと湧き上がる怒りに堪らず怒鳴りつける勢いで立ち上がるが、アイヴァン様の腕がそれを制止してきた。
「……試した結果、君の結論は?私はお眼鏡に叶ったと思っていいのか?」
驚くほど落ち着いた声色で結論を聞き出す。
「えぇ、そうですね」
素っ気ない返事。
(何その態度!)
もう少し詫び入れたりしてもいいだろ!アイヴァン様も、こんなヤツに頭なんて下げることなかったのに!
不満と怒りで頭が爆発しそうになっていると、私の腰をアイヴァン様が抱き寄せてきた。
「今回は、君の策略に乗せられてしまったが、今後はそうはいかん。こうしてミーリアムは私の腕の中にいる。それを邪魔しようものなら、今回のように行儀良くできる保証は無いぞ」
射るような眼光をレスターに浴びせた。
感情を押し殺した大人の対応だったが、見せつけるように私の髪にキスを落とし、忠告と牽制は忘れない。
「肝に銘じておきますよ」
レスターは素直に受け入れたようだった。
正直、私は納得していないし腹の虫が収まらないがが、アイヴァン様が納得したのならこの場は一旦は飲み込むことにした。
私はアイヴァン様のように出来た大人じゃないから、暫くは口を聞いてやることはないだろう。
「さて、話は済んだので我々は失礼するとしよう」
長居は無用と、立ち上がり踵を返すアイヴァン様に手を引かれ、部屋を後にしようとした時
「あぁ、もう一点伝えておくことがありました」
「は!?」
この期に及んでまだ何か言うつもりかコイツ!
「私の恋愛対象ですが、女性ではありませんよ」
「「…………ん?」」
私もアイヴァン様も、思わず首を傾げた。
女性、じゃない…?
「ついでに付け加えますと、パートナーもおります」
「「はぁ!?!?!?」」
アイヴァン様と声を合わせて叫んだ。
「こら、ミーリアム」
「……ん……?」
名前を呼ばれ、微睡む意識の中、ゆっくりと瞼を開けた。
「おはよう」
「──ん゛!?!?!」
真っ先に飛び込んできたのは、麗しきアイヴァン様のご尊顔。そして、ムニムニと触りまくっていたのはアイヴァン様の分厚い鳩胸。
寝起き一発目に見るアイヴァン様の破壊力たるや…眩しすぎて直視できない。
「その…大丈夫か?」
「へ!?」
枕に顔を埋め、照れた姿を見せられキュッと喉が鳴った。
(か、可愛い……!)
反則級の可愛さに息が止まりかけた。いや、数秒止まった。
昨夜のことだが、単刀直入に言えば未遂。
大人の色気と感じたことの無い快感に私がついていけずキャパオーバー。寸前のところで気を失ってしまった。
尽くどうしようもないと思うが、こればっかりは無理だって。アイヴァン様の本気はマジでヤバい。心臓が飛び出さなかっただけ頑張ったと思いたい。
「すまなかった。頭に血が昇り過ぎて、余裕がなかった」
「いいえ、アイヴァン様は悪くありません。私こそごめんなさい。その……レスターの事なんですけど……」
寝起きに話す事じゃないとは思うが、アイヴァン様の事を思うなら早めに言ってしまった方がいい。
そこで私は、アイヴァン様が視察に出てからの屋敷での過ごし方と、出来事を全て包み隠さず話して聞かせた。まあ、最初の一週間はアイヴァン様ロスで部屋から一歩も出ていないし、重点はレスターとのことだろうから、そこは詳しく何処へ行って何を買ったのか。なんなら滞在時間まで事細かに話した。その上で、何もなかったことを改めて伝えた。
「疑うのなら、店に問い合わせてくれて構いません」
「いや、君の話に穴はなかった。……大方、彼が意図して仕組んだことなのだろう」
「え?」
アイヴァン様の考察では、巡回の騎士が歩いてるのを見たレスターが私を上手く誘導してキスしている様に見せたのだろうという事だった。
「私が君を目撃したと言う騎士に確認してから来ればよかったのだが……気が急いてしまった」
まさかレスターが?という思いがあるが、アイヴァン様の怒りを目の当たりにしているので疑う余地がない。
「なんで、そんな手の込んだことを?」
「私との仲を裂きたいのだろう」
レスターは私を応援してくれているものだと思ってたけど違ったの?
「今後も彼に振り回されるのは御免だ。今から彼に会って話をつけてくる」
ベッドを下り、床に落ちていたシャツに腕を通す姿を見て、思わず「私も行きます!」そう叫んでいた。
***
身支度を整え、アイヴァン様と共にマクナリー侯爵邸へやって来た。
「お待たせしました」
レスターは、突然の訪問にも顔色一つ変えずやって来た。
「団長様がわざわざ出向くとは珍しいですね。……で?ご要件は?」
目を光らせて訪問理由を訊ねてくる。
頭の良いレスターなら私とアイヴァン様が一緒に来た時点で察しているはず。敢えて訊ねてくる時点で、手間取りそうな予感しかしない。
口を挟みたいが、ここに来る前にアイヴァン様に「君は黙って隣にいてくれればいい」と言われてしまった手前、口が挟めない。
どうするんだろう……
チラッと隣のアイヴァン様に視線を向けると、アイヴァン様がレスターに向かって深々と頭を下げているではないか。
「え、は!?アイヴァン様!?」
ギョッとして声を張り上げるが、アイヴァン様は頭を上げることはしない。
「ミーリアムを私に譲って頂きたい」
狼狽える私には目を向けず、落ち着いた声色で言った。
「君がミーリアムを特別に想っている事も、私の事をよく思っていない事も分かっている。だが、今更ミーリアムを他の男には渡せない。どうか…頼む」
敵意も向けず、誠心誠意自分の想いを伝えるアイヴァン様。自分たちを引き裂こうとした相手に頭を下げるなんて、常人には出来ない所業だ。
「貴方の気持ちは分かりました。先ずは頭を上げてください」
今まで黙っていたレスターが声をかけた。
「貴方は何か勘違いしていますね。私がいつミーリに好意があると言いました?」
「「は?」」
これには私も声を上げた。
「誤解されるような行動を取ってたのは認めましょう。ですが、好意があると明言したことは一度もないはずです」
「「は?」」
私もアイヴァン様もレスターが何を言っているのか分からず、口を開けたまま茫然となってる。
「いやいやいや、おかしいおかしい。じゃあ、なんで誤解されるような事したの!?」
真っ先に口を開いたのは私。すると「フッ」と目を細めながら私を見つめてくる。
「私にとってミーリアムは、血の繋がらない大切な妹なんです。その妹を預けるのですから、多くの障害を軽く乗り越える者じゃないと任せられないと思ったんですよ」
「はァァァァァァ!?」
怒りと呆れを通り越して、具合が悪くなってきた。
妹だと思って大事にしてくれたのは率直に嬉しい。けどね、やり方!もう少しやり方があったはずでしょうよ!
「……私とキスした風に見せたのは?」
「あぁ、それはですね。遠征先でミーリの不貞を知った団長殿が、どんな態度を見せるか知るためですよ」
ふふっと笑ってみせるが何も面白くないからな。
「他人の話だけを信じて婚約を破棄を申し入れる不届き者か、ミーリアムの話をちゃんと聞き入れ、それを信じる優等生か……団長殿が後者の方で良かったです」
満足気なレスター。
拗らせ男子もここまで来たら、ただの有害。相手がアイヴァン様じゃなかったらマジで終了案件だった。
それをコイツは私の為だと?ふざけるな!
「レスター!あんたね──!」
フツフツと湧き上がる怒りに堪らず怒鳴りつける勢いで立ち上がるが、アイヴァン様の腕がそれを制止してきた。
「……試した結果、君の結論は?私はお眼鏡に叶ったと思っていいのか?」
驚くほど落ち着いた声色で結論を聞き出す。
「えぇ、そうですね」
素っ気ない返事。
(何その態度!)
もう少し詫び入れたりしてもいいだろ!アイヴァン様も、こんなヤツに頭なんて下げることなかったのに!
不満と怒りで頭が爆発しそうになっていると、私の腰をアイヴァン様が抱き寄せてきた。
「今回は、君の策略に乗せられてしまったが、今後はそうはいかん。こうしてミーリアムは私の腕の中にいる。それを邪魔しようものなら、今回のように行儀良くできる保証は無いぞ」
射るような眼光をレスターに浴びせた。
感情を押し殺した大人の対応だったが、見せつけるように私の髪にキスを落とし、忠告と牽制は忘れない。
「肝に銘じておきますよ」
レスターは素直に受け入れたようだった。
正直、私は納得していないし腹の虫が収まらないがが、アイヴァン様が納得したのならこの場は一旦は飲み込むことにした。
私はアイヴァン様のように出来た大人じゃないから、暫くは口を聞いてやることはないだろう。
「さて、話は済んだので我々は失礼するとしよう」
長居は無用と、立ち上がり踵を返すアイヴァン様に手を引かれ、部屋を後にしようとした時
「あぁ、もう一点伝えておくことがありました」
「は!?」
この期に及んでまだ何か言うつもりかコイツ!
「私の恋愛対象ですが、女性ではありませんよ」
「「…………ん?」」
私もアイヴァン様も、思わず首を傾げた。
女性、じゃない…?
「ついでに付け加えますと、パートナーもおります」
「「はぁ!?!?!?」」
アイヴァン様と声を合わせて叫んだ。


