一夜限りの恋だったはずなのに、最強総長は息子ごと私を離してくれない。
「……杏奈」



無意識に、名前を呟いた。




たった一度。



本当に、一度しか会っていない。



それなのに――。



「なんで忘れられねぇんだよ」



自分でも理由が分からない。



名前を聞いただけで、胸の奥が妙にざわつく。



あのときの表情。



声。



自分から離れていった背中。



全部、鮮明に残っていた。



「……もう会うことはない、か」



あの夜、杏奈が残した言葉。



哉太は小さく笑った。



「勝手な女だな」



そう言いながらも、責める気にはなれなかった。





むしろ――。





もう一度、会いたい。





そう思ってしまう自分がいる。



「……俺、どうかしてんな」

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