一夜限りの恋だったはずなのに、最強総長は息子ごと私を離してくれない。
「……嘘」



忘れたはずだった。



もう二度と会わないと決めたはずだった。




なのに。


その人が、そこにいる。



「……玖珂……哉太……?」




小さく漏れた声。



その瞬間。



哉太が、ゆっくり顔を上げた。



「……誰だ?」



まだ杏奈には気づいていない。



杏奈は、とっさに夏樹を抱きしめる。




「……っ」




胸が苦しい。



どうして。



どうして、こんなところに――。



哉太が視線を動かす。


そして。



二人の目が、初めて重なった。



「……」


「……」




時間が止まったようだった。



哉太の目が、大きく見開かれる。


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