一夜限りの恋だったはずなのに、最強総長は息子ごと私を離してくれない。
* * *



数時間後。




「失礼いたします」




再び扉が開いた。



「早ぇな」




「必要な情報は、ある程度揃いました」




渡は一冊のファイルを机の上に置く。





「高瀬杏奈さんは、現在もこの街で暮らしています」



「……そうか」




哉太の視線がファイルへ落ちる。




「仕事は?」




「在宅でのリモート勤務です。育児との両立がしやすい環境を選んでいるようです」



「子供は?」



渡が一瞬だけ間を置いた。




「男のお子様が一人」




「……名前は?」



「高瀬夏樹くんです」



「夏樹……」



哉太が、その名前を口の中で繰り返す。




「まだ幼いのか?」




「はい」



「そうか」




哉太はファイルをめくった。



そこには杏奈の現在の生活について、いくつもの情報が記されている。



「住んでる場所は?」



「防犯設備の整った二十階建てのマンションです。杏奈さんは十五階の二LDKに住んでいます」



「一人で?」



「お子様と二人で暮らしています」



「……そうか」




その返事は、なぜか重かった。



「それから」



渡が続ける。



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