一夜限りの恋だったはずなのに、最強総長は息子ごと私を離してくれない。
「夏樹――」
その名前を、そっと口にする。
「高瀬夏樹」
私の大切な息子。
「今日から、私があなたのお母さんだよ」
返事の代わりに、小さな手が私の指をぎゅっと握った。
「……ふふ」
泣きながら笑う。
「よろしくね、夏樹」
この子と二人なら、大丈夫。
そう思っていた。
このときの私は――。
数年後、もう一度あの男と出会うことになるなんて。
まだ、知らなかった。