一夜限りの恋だったはずなのに、最強総長は息子ごと私を離してくれない。
「お腹空いたね。今、準備するからね」
「ふぇ……」
「もうちょっとだけ待ってね」
夏樹の背中を優しく撫でる。
すると、小さな泣き声が少しだけ弱くなった。
「……ふふ」
思わず笑みがこぼれる。
こんな小さな身体で、一生懸命に生きている。
それだけで、愛おしくて仕方がなかった。
「夏樹」
名前を呼ぶ。
「あなたはね……ママが、ずっと願っていた子なの」
小さな頬を指先でそっと撫でる。
この名前には、私の願いを込めた。
いつか、この子が哉太さんのような、大きくて強い樹に育ってほしい。
どんなに強い風が吹いても。
どんなに厳しい雨に打たれても。
深く根を張って、決して倒れない。
誰かに支えてもらわなくても、自分の力でまっすぐに生きていける人になってほしい。