外れ夫と結婚したのに、気付けば憧れの愛され妻と呼ばれていました
その後、理玖の段取りで縁談が勢いよく進み、たった数日で理玖が報告しにきた。
「蒼真、友崎社長と話したよ。彼も縁談に乗り気だ」
「……本人はなんて?」
(沙絵は本当に俺との縁談だと分かっているのか?)
「沙絵さんと直接話はしていないが、友崎社長が言うには前向きなようだ。ただ彼女の姉の縁談も同時に進めているそうなんだ。結婚式は姉の後にしたいとのことだ。沙絵さんは姉に気遣う謙虚な性格みたいだな」
「わかった」
友崎家から送られてきた釣書を開くとき、蒼真は柄にもなく緊張を覚えた。
蒼真の思い出の沙絵は、明るく元気で、幼かった。
彼女がどう変わっているのか。早く見たい気持ちと怖い気持がある。
蒼真はゆっくりと写真を手に取った。
そこには美しい大人の女性が微笑んでいた。
卵型の小さな顔に、白目と黒目がはっきりした美しい目。すっと通った鼻筋と小さな唇。柔らかな黒髪が肩にかかり、カメラに向けて微笑む表情は穏やかで落ち着いている。
肌が白く上品なベージュのワンピースがよく似合っている。
蒼真の記憶の少女ではない。それでも目元に面影がある。
二十六歳になった沙絵だった。
蒼真は写真から目を離せなかった。
見合い前日は、緊張でなかなか寝付けなかった。
待ち望んだ再会に、期待が高鳴っていたのだ。
ところが――。