外れ夫と結婚したのに、気付けば憧れの愛され妻と呼ばれていました

杏華は高月孝也の問題を知った後も、彼と結婚したいという意志を変えなかった。

お見合いの席での印象もよかったようで、運命の相手に出会ったと、上機嫌ではしゃいでいた。

沙絵の方の縁談もスピーディーに進められ、顔合わせの場が設けられた。

見合い相手の日堂蒼真は、好みにうるさい杏華が、一目で気に入るほどの美男。

彼は沙絵より二歳年上の二十八歳で、有名国立大学卒業後、ヴィアスペースというECモール運営会社を設立した。

ヴィアスペースは、業界内では後進だが、使いやすく先進的なプラットフォームが評価され、利用者数が日々増え続けている。

高月グループのような歴史ある名門企業ではないが、勢いと将来性がある優良企業だ。

こちらも雪丸運輸との縁組など必要としていないと感じたため、父に事情を確認した。

『これから取引するからだと思うよ』

(こっちはもっと曖昧だった!)

高月家のときのような明確な理由はないようで、結局縁談に至った理由は不明のままだ。

沙絵は、彼についての情報を集めるためSNSやネットで検索をしてみた。

その結果、縁談に関する情報は見つけられなかったが、彼個人の評判はあまりよくないことが判明した。

優秀ではあるが、独裁的で冷酷な性格のため敵が多く、身内である社員からも恐れられているのだとか。

パワハラCEOや、冷酷経営者など中傷的なコメントも多かった。

噂にはデマも含まれているだろうが、火のない所に煙は立たぬという。付き合いづらい相手の可能性が高い。

(怖すぎて結婚相手が見つからない人なのかもしれない……やっぱり裏があったんだな)

沙絵の心は深く沈んだ。

しっかしがっかりする一方で妙に納得していた。

身に余る縁談の理由が分かってよかったと思った。

(どうなるか分からないけど、会社の為に頑張ろう)

沙絵は覚悟を決めて、お見合い場所であるホテルのラウンジに向かった。

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