マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

***

午後七時過ぎ。
経理部は、繁忙期を除いて残業はない。
けれど、今日は就業時間ギリギリに大量の領収書を持ってきた社員がいて、その事務作業をしたせいで残業になってしまった。
残業は三十分程度で終わったが、そこからスーパーの特売品を狙って買い物をしたり、ドラッグストアでポイントが二倍なので、日用品のストックを購入した。
家に着くと、リビングに荷物を置いてスーツを脱ぐ。
シャワーで簡単に入浴を済ませ、そのままベッドにダイブした。

「はぁあ~。つっかれたぁ……」

顔をベッドに埋めて、鞄の中を手探りでスマホを取り出す。
スマホを手に取っただけでも、ブブッ、ブブッと振動が続く。
そういえば、今日は仕事中もずっとスマホが振動していた。
いつもなら、スマホが振動するのはハンドメイドショップで何かが売れた時と誰かからメッセージが来た時のみ。
それほど通知の来るスマホではないのだ。
画面を点けると、表示に目を丸くした。

「な……なにこれっ」

思わず声を上げてベッドから飛び起きた。
昼間に結衣から手ほどきを受けてインストールしたマッチングアプリからの通知が百件を超えているのだ。
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