マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

『最初はびっくりすると思うよ~。まぁ、そのうち落ち着くと思うからさ』

昼間、結衣がそう言っていたことを思い出した。
これは、こういうことだったんだ……。
改めて実感しているうちにも、ブブッ、ブブッと振動は止まらない。

「わ、わわっ……早く、なんとかしないと……」

良いと思った人は右、いまいちと思った人は左にスワイプする。
そう教えてもらったけれど、人との関りが薄い私が人様を査定するようなことをしたくなかった。
そう思って、いいねを押してくれた人を右にスワイプする。
どんな人かなんていうのは、実際に話してみないと分からない。
右にスワイプすれば、ブブッ、ブブッと振動する。
今度は、マッチングした人からメッセージが来たのだ。

「えっと、先に返事をした方が良い……よね……?」

そう思い、トーク画面を開くとまた目を丸くした。

『今夜会いませんか?』
『顔見せてー』
『家近い?』
『胸大きい?』
『脱いだの見せてーw』
『大人関係希望です』

距離感ゼロなメッセージが立て続けに来ている。

「ひ、ひぃっ……!」

思わずスマホをベッドに投げた。

「お、男の人って……こんなことばっかり送ってくるの……?」

男性と関わってこなかった私にとって、『普通』というものがどのようなものかなんてわからない。
けれど、これは――気分が悪い。
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