マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました
「うん。これでオッケー」
「わ……もう終わったんだ……」
結衣の手ほどきもあり、あっという間に終わった。
そして、自分のアカウントをなんとなく見ていたら、ポン、ポポンと軽快な音が鳴る。
「な、なに……?」
「おっ。さっそく『いいね』が来てるじゃん」
「いいね?」
「さっき言った右とか左にスワイプするあれだよ」
あぁ、と納得して頷く。
しかし、こう話している間も次々に軽快な音が鳴り続ける。
「充電、なくなっちゃいそうだから……マナーモードにしとこ」
「最初はびっくりすると思うよ~。まぁ、そのうち落ち着くと思うからさ」
へらっと笑えば、時刻はそろそろ良い時間。
私はお弁当箱、結衣はトレーを持って席を立った。
すると――。
「マジ疲れたわぁ。やっと昼飯だよ」
「午後からも商談があるんだから、さっさと食うぞ」
「おー」
ぞろぞろと美形な集団――花形営業部の人達が食堂に入って来る。
「ねぇっ。あの人たち……♡」
「わっ、すご……」
営業部の中でも目立つ彼らは、社内で知らない者はいないほど有名だ。
その中でも特に。
「わっ。鷹岡さんもいるっ」
「すごっ。カッコいい♡」
女性社員たちの目をハートにさせ、注目を浴びるのが鷹岡颯馬。
彼は、私が入社するよりも前から常に営業部のトップを走り続ける営業部のエースだ。
端正な顔立ちですらりと長い手足。
男性社員と交流のない私でも名前や顔を知っているのは、彼がたびたび社内誌で特集を組まれる人気者だからだ。
身長は百八十五センチほど。
社内誌のインタビューでは、休日はジムに通っていると答えていた。
「わ、イケメンだ。拝んどこ」
「そ、そうだね……」
私と結衣は遠目から彼を見て、休憩後の仕事からは何か良いことがあるような気になっていた。