マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

***

午後七時五十七分。
今日は残業がなく、家には六時前に着いていた。
シャワーで体を清め、ご飯も簡単に済ませた。
そして、今はベッドの上で正座をしている。
正面にはスマホを置き、その隣にはさらさらっと書いたメモ。
午後八時から始まる彼との電話に準備したものである。

『今日の夜はどうですか? 今日は早めに帰れるので、夜八時ならできます』

会社のエレベーターが来るのを待っている時に、スマホを確認したら彼からメッセージが届いていた。
(夜八時……あと三時間を切ってる……!)
慌ててエレベーターに飛び乗り、ボタンまで連打してしまった。
扉が閉まる時間が早くなるというわけでもないのに。
そこから大慌てで買い物をして、家に帰って準備をしたのだ。
ベッドの上で正座を始めてもう二十分も経つ。

「初めまして、RUIです。今日はお時間をとって頂き、ありがとうございます。さて、今日お電話のお時間をいただきたかったのは……」

メモにまとめた話す内容を一人でぶつぶつと何度も繰り返す。
(ちゃんと練習しないと、失敗しちゃったら彼に迷惑をかけてしまう……)
何度も読み返して、大丈夫、大丈夫と、根拠のない自信を言い聞かせるように何度か頷いた。
すると、ブブッ、ブブッとスマホが振動する。
画面にはSOMAと表記があり、着信と拒否のボタンがある。

「う、うそっ……も、もうっ……あっ!」

予定よりも三分早い時間にかかってきたことに慌てて、スマホを右手、メモを左手に持って準備をしようとしたらひらりとメモがベッドの脇に入ってしまった。
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