マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

「いいよ、そこは素直に頷いて。むしろ、ホイホイついていくような子なら、心配だから」
「お心遣いはありがたいですけれど、はい……公園の待ち合わせが良いです」
「よろしい。なんて」

くすくすと笑う声が聞こえて、それに釣られて「ふふっ」と笑みが移った。

「やっと笑った」
「へ……?」
「初花さん、ずっと緊張してたみたいだから」

たしかに、電話したばかりの時は緊張していたが、今はもうそんなことはない。
いつの間にか、彼のペースに合わせて緊張は完全に解れていた。

「じゃあ、そろそろ遅いから切るよ。日程はまた明日にでも決めよう」
「は、はいっ……あの、今日はありがとうございました……!」
「いいえ。じゃあ、おやすみ」
「は、はいっ。おやすみなさい」

スマホを耳から離すと、通話終了のボタンを押す。
あっという間だと思っていたけれど、二十分近く話していた。
スマホを胸にぎゅっと抱いたまま、ボフッとベッドに倒れ込む。

「き……緊張したぁ……」

情けない声を出して、ベッドに身を預けているとブブッとスマホが振動して反射的に画面を確認した。
すると、彼からメッセージが来ている。

『こちらこそ、今日はありがとう。おやすみ』

改めてそう送られると、彼のマメさに笑みが溢れた。

「ふふっ……会ってみたいなぁ。SOMAさん……」

昼間は会うことに抵抗しかなかったのに、電話をしたことで彼の人となりを知れた気がして気持ちが前向きになっていた。
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