マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました
「みゃあっ」
「へ……? あっ」
入力したメッセージを送信するか否かで画面と睨めっこしていたら、画面を放置しすぎて暗くなる。
そこに映るのは、眉間に皺を寄せた難しい顔をしている自分。
こんな顔したいのは、きっと彼の方なのに。
そう項垂れていたら、足元で猫の鳴き声がしてパッと視線を向ける。
「わっ……可愛い……」
喉をゴロゴロと鳴らして足元に絡みつくこの子は、以前鷹岡さんが送ってくれた子だ。
(そうだ……前みたいに、写真を送ってからならメッセージも送りやすいかも……)
そう思い立つと、ベンチから降りてしゃがんだ。
手を出せば撫でてと言わんばかりに頭を押し付けてくる。
「ふふっ……可愛い……」
片手で猫を撫でて、もう片手でカメラを起動する。
数枚撮ったところで、スマホを両手に持ち直す。
「みゃあ」
物足りなさそうに擦り寄ってくるけれど、うぅ……ちょっと待ってね。
猫を待たせている罪悪感で、送信が押せる。
そう思っていたけれど、やっぱりダメだ。
「あぁ、やっぱり無」
「にゃあっ」
「ひゃっ……あぁっ!」
やっぱり無理だとスマホを下ろそうとした瞬間、猫が腕に飛びついてきた。
その瞬間、猫の写真を添えたまま、何度も入力しては消していたメッセージが送信された。
やばい……そう思ってすぐに送信取り消しを押そうとしたけれど、もう既読がついていた。