マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました
「は、はやく取り消し……っ、間違えたっ」
慌てふためいて送信取り消しを押そうとしたら、間違えて自分のトーク画面からメッセージを消してしまった。
これではもう、相手に届いたメッセージを取り消すことはできない。
頭の中は完全にパニック。
なんとかしないと、なんとかしないと……そう思って操作を繰り返したら、誤って通話ボタンを押してしまった。
「まずっ……!」
電話を切ろうとしたけれど、繋がってしまった。
もう後には引けない。
そう思って耳にスマホを当てて、ぎゅっと目を閉じた。
何を言われたって、どう罵られたって、私にはちゃんと聞かないといけない義務がある。
けれど。
「良かった。RUIさん、事故に遭った……とかじゃないよね?」
「へ……?」
開口一番、初めて電話した時のように低く落ち着いた声音でそう言われると思わず声が漏れる。
私を責めるとかじゃなくて……今も、心配……してたの?
「は、はいっ。あ、あのっ……メッセージで、ごめんなさいっ。私、土曜日……」
「大丈夫だよ。電話でもすごく緊張してたから、会う約束はしたけど、やっぱり怖いのかなって。だから、それは気にしなくて良い」
これほど優しい彼に、私はなんてことをしてしまったのだろう。
鷹岡さんって、営業部の一位を走り続ける人だから、もっと厳格で冷たい人だと思っていたのに。