マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

「何をやっているんだ。お前ら」

聞き覚えのある声に、ゆっくりと目を開ける。
彼らの視線が私から背後に向いている。
大きな彼らをかいくぐるように、ひょっこりと顔を出す。
すると、そこには――颯馬さんとモデルのようにスタイルの良い綺麗な女の人がいた。

「鷹岡さん。お疲れ様です。経理の波田さんが営業部に用があるみたいで、要件を聞いてたんですよ」
「そうか。二課はそろそろ会議の時間だろ? 行かなくて良いのか?」

颯馬さんがそう言えば、辻村さんたちは腕時計を確認して「……ヤバ」と焦っているようで、声を低くする。
また私にひらひらと手を振って、会議室の方へ向かっていった。
(よ、良かった……)
ホッと胸を撫でおろして視線を落とすと、視界が暗くなる。
その原因を確かめるために顔を上げれば、目の前に颯馬さんがいた。

「それで、営業部に用というのはどうしたんだ。初花」
「あの、白鳥さんに精算書の件でお尋ねしたかったのですけれど、営業部には一課と二課があって、その……」

そういえば、白鳥さんについても分からないことだらけだ。
ただ手が空いているという理由だけで引き受けたが、自分の不甲斐なさに申し訳なくなった。
すると、隣にいた女性が挙手をする。
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