マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

「あの、白鳥は私です。私の精算書でしょうか?」

颯馬さんの隣にいた綺麗な女性が私をじっと見て尋ねる。
(わ……この人、だったんだ……すごい美人……)
同性の私も、彼女の美貌に目を奪われてじっと見つめてしまう。

「……あの」

なかなか返事をしない私に、白鳥さんが小首を傾げる。

「わっ、す、すみませんっ。あの、この領収書なんですけど、日付と金額が合っていなくて。それで、確認に来ました」
「本当ですね。申し訳ありません、私のミスにも関わらず、わざわざ営業部のフロアにまで足を運んでもらって」

書類を確認した白鳥さんがそう言うと、瞬きが増える。
彼女は切れ長の目に、高い鼻。
そして、無駄な肉の付いていないシャープな輪郭のキリッとした顔立ちの美人。
艶のある黒髪は、腰まであってまっすぐ伸びていて、まるで曲がったことを絶対に許さないという意思が表れているよう。
彼女は凛とした美人だけれど、クールでとても厳しそうに見えていた。
だから、丁寧な言葉が続くと驚いてしまった。

「い、いえっ。とんでもありません」
「期日までに、必ず提出しますので」

そう言って、書類を受け取れば会釈をして颯馬さんと二人並んでエレベーターの方へ向かっていった。

「今日行く営業先だが」
「心得ています。資料と様々なパターンの見積書も作っています」
「さすがだな」

二人の息の合ったやり取りに、私は彼らの姿が見えなくなるまで目で追ってしまった。
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