マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

「す、すみません……ご迷惑、でしたよね」
「いえ、違います。迷惑だったという意味ではなくて、こちらのミスなのに波田さんがわざわざ来てくださったので。次からは私が伺います」

やはり、彼女は良い人だ。
私は思わず、パチパチと瞬きを繰り返す。

「良い人……」
「そうでしょうか?」
「っ。す、すみませんっ。私っ……」

慌てて口元を押さえる。
思っていたことが思わず声に出てしまったのだ。
そして、それに対しても白鳥さんは真面目な表情で少し首を傾げる。
(わ~っ。は、恥ずかしすぎる……!)
唇をきゅっと噛みしめて、視線を落とした。
顔に熱が集まるのが分かる。

「波田さんって、可愛い人ですよね」
「へっ!?」

味噌汁をすすりながら、表情一つ変えずに言う白鳥さんに、私は耳まで熱くなる。

「以前から、名前は何度か伺っていたんですけど。今日、改めて思いました。髪や化粧もしっかりされているだけでなく、ネイルや髪留めも可愛らしいですよね」
「そ、そんなことない、です……」

髪は、癖毛で悩んでいる。
だから、毎朝アイロンで巻いてふわっとさせて誤魔化している。
縮毛矯正にも憧れたことがあるけれど、肌が弱いから薬を塗るのはダメ。
化粧も華美にはできないけれど、人前に出ても恥ずかしくない程度には整えているつもりだ。
けれど、ネイルや髪留めを褒められるのは正直嬉しい。
私が、ハンドメイドで作っているものだからだ。
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