マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

「えっ、そ、そんな……会社の人からお金を頂くなんて。その、気に入ってくれたなら持ってきますよ……!」
「いえ。これは波田さんがお休みの日に作られたんですよね? 作業する時間や材料費を考えたら、タダで貰うわけにはいきません」

良い人というだけでなく、律儀な人である。

「迷惑でなければ、ショップのURLを教えてもらいたいので連絡先の交換をしてもらっても構いませんか?」
「は、はいっ」

こくりと頷いて、白鳥さんと連絡先を交換した。
すると、彼女は食べ終わって席を立った。

「では、失礼します。有益な情報をありがとうございました」
「い、いえっ。私の方こそ……ありがとうございました」

対面でハンドメイドのことを話したのは、結衣以外に初めてで、ショップのURLまで教えて欲しいと言われて心がポッと温かくなった。
(白鳥さん……すごく良い人……)
口元が緩み、知り合いが増えたことも嬉しく思えた。
話すことに夢中になっていたため、弁当がまだ半分しか食べられておらず、オムライスの続きを食べ始めた。

「白鳥と何を話していたんだ?」
「へ……? あっ、そ……颯馬さん……」

背後から声を掛けられて振り返ると、そこには食べ終えたトレーを持っていた颯馬さんが立っていた。
< 45 / 52 >

この作品をシェア

pagetop